私がいなくなったら、この子はどうなる?
2026/10/30
もしものとき、ペットはどうなる?
犬や猫を家族の一員として大切にしている方は多いと思います。
ペットの医療も進み、長生きする子が増えました。
一方で、飼い主さんがご高齢の場合、「自分が先に亡くなったり、施設に入ったりしたら、この子の世話は誰がしてくれるのだろう」と不安に思う方も少なくありません。
海外には、ペットに巨額の財産を残した例もあります。
アメリカでは、ホテル経営で財を成した女性が、愛犬のために約1,200万ドルを残したことが話題になりました。
では、日本でも同じことができるのでしょうか。
日本ではペットに直接財産を残せない
残念ながら、日本の法律ではペットは「物」として扱われます。そのため、ペットが財産を相続したり、受け取ったりすることはできません。
「愛犬に全財産を」と遺言書に書いても、その通りにはならないのです。
そこで、ペットのお世話をしてくれる「人」に財産を託すという方法を考えることになります。
代表的なものは次の3つです。
① 負担付遺贈(ふたんつきいぞう)
遺言書で「財産を渡す代わりに、ペットの世話をしてください」とお願いする方法です。
よいところ
遺言書だけで手続きができ、比較的手軽です。
注意したいところ
遺言は一方的なお願いなので、受け取る人が「やっぱり引き受けられない」と断ることができます。
事前に相手とよく話し合い、了解を得ておくことが大切です。
遺言の内容を実行する「遺言執行者」を決めておくと、きちんと世話がされているか確認してもらいやすくなります。
② 負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)
生前に、お世話をしてくれる人と「私が亡くなったら財産をあげるので、その代わりにペットの世話をお願いします」という契約を結んでおく方法です。
よいところ
お互いが納得して結ぶ契約なので、遺言よりも「断られる」心配が少なくなります。
注意したいところ
後々のトラブルを防ぐため、契約書をきちんと作っておくことをおすすめします(公正証書にしておくとより安心です)。
①②とも、財産を受け取った後に本当に世話をしてくれるかどうかは、相手を信じるしかない面があります。
③ ペット信託(民事信託)
近年注目されているのが「信託」を使う方法です。飼い主さんが信頼できる人(家族など)に財産を預け、「ペットの飼育のために使う」という目的を決めて管理してもらう仕組みです。
よいところ
飼い主さんが元気なうちから始められます。
亡くなったときだけでなく、認知症になったときや老人ホームに入ったときにも対応できます。
財産を管理する人と、実際にペットを飼育する人を分けることができ、お金の使い道をチェックしやすくなります。
「信託監督人」などを置けば、きちんと世話がされているか見守ってもらうことも可能です。
ペットが亡くなった後に残ったお金を誰に渡すかも、あらかじめ決めておけます。
注意したいところ
契約の内容を考えるのに専門的な知識が必要で、作成に費用がかかります。
預かる人・飼育する人の負担も考え、無理のない内容にすることが大切です。
税金のことも忘れずに
ペットのために財産を渡す場合、受け取った人には相続税や贈与税がかかる可能性があります。
例えば、遺言でお子さんや配偶者以外の方(ご友人や甥・姪など)に財産を渡すと、相続税が通常より2割増しになるケースもあります。
また、ペットの飼育費用をどの程度見込むかによって、受け取る財産の評価にも影響が出てきます。
「ペットのために」と思って準備したことが、かえってお世話をしてくれる方に思わぬ税負担をかけてしまっては残念です。
方法を選ぶ際は、税金のこともあわせて検討しましょう。
まずは「誰に託すか」を考えることから
どの方法を選ぶにしても、一番大切なのは「この人ならペットを任せられる」という相手を見つけ、よく話し合っておくことです。
そのうえで、ペットの年齢や健康状態、必要な費用、ご自身の財産の状況などを踏まえて、ぴったりの方法を選んでいきます。
「まだ先のこと」と思っていても、病気やケガは突然やってきます。大切な家族であるペットがこれからも安心して暮らせるように、元気なうちから準備を始めてみませんか。
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市川哲也税理士事務所
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